BRUTUS 6/15号『マンガが好きで好きで好きでたまらない』(マガジンハウス) // リンク 大迫力の作画に目を奪われ、胸震わせるセリフを噛みしめ、ドラマチックな伏線回収に感嘆。ページをめくる時間は日常から解き放たれ、想像の世界へと旅立つことができる……
尾田栄一郎『ONE PIECE』(集英社) // リンク 時は大海賊時代。いまや伝説の海賊王G・ロジャーの遺した『ひとつなぎの大秘宝』を巡って、幾人もの海賊達が戦っていた。そんな海賊に憧れる少年ルフィは、海賊王目指して大いなる旅に出る!! 総合電子書店「ゼ…
萩尾望都『トーマの心臓』(小学館) // リンク 冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。トーマ・ヴェルナー。そして、ユーリに残された1通の手紙。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオス…
浅野いにお『虹ヶ原ホログラフ』(太田出版) // リンク 過去と現実、そして夢が交錯した複雑なストーリー構成。 同じ地点に同一の登場人物が存在するといった時間SFの要素。 牛の体と人間の顔を持つ妖怪「件」や、怪物の存在を象徴する「蝶」といった超自然…
高橋源一郎『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』(集英社)より 『ガドルフの百合』 // リンク 宮沢賢治の作品タイトルを原題のまま使い、小説家が独自の新たな世界を構築した物語群の1つである。 主人公のガドルフはホテルのような部屋のベッドで目を覚…
岸虎次郎『岸虎次郎作品集 冗談だよ、バカだな』(太田出版) // リンク 相反するものを持っている者の存在によって、自分の中の相反するものが揺さぶられる。 イケメン男子トモと女性のように美しい男アサは中学の同級生。ある日の体育の授業で、トモはアサ…
岡崎京子『ヘルタースケルター』(祥伝社) // リンク 私の姿を形作るのは、他者の欲望である。 カリスマ的な魅力を持つ女性りりこは、モデルやタレント、女優として絶大な人気を誇っていた。しかし、彼女の美貌には秘密がある。それは、その美しさが整形で…
マッチロ『BIBLIOMANIA』(おおばる脚本、コミックダイス) // リンク 内側の世界に閉じこもるのと、外側の世界に飛び出していくのとでは、どちらがより幸福になれるのであろうか。 少女アリスは目が覚めると真っ白の空間にいた。そこで「ヘビ」と名乗る怪物…
志村貴子『志村貴子作品集 かわいい悪魔』(太田出版) // リンク 魔女についての解釈がなかなか面白い。この漫画家にとって魔女とは、日常に溶け込む存在なのである。 ある日、男の子は若い女性の姿をした魔女と出会う。そして彼女は、男の子の家族の一員や…
平山夢明『暗くて静かでロックな娘』(集英社) // リンク 大切な人の存在を認識させるモノとは何か。 男はある女と出会う。彼女は目も見えず、耳も聞こえないのだが、彼の香りに強く反応して彼の腕に抱きついた。そこから二人の物語は始まる。 彼女は彼女の…
寺田克也『ラクダが笑う ファイナル・カット』(徳間書店) // リンク 暴力、セックス、金。B級エンターテインメントの要素がたっぷりと詰まった1作である。 主人公の男ラクダはとんでもないチンピラであり、巻き込まれた様々な事件を圧倒的な暴力で解決して…
真鍋昌平『アガペー』(小学館) // リンク タイトルの「アガペー」とは、キリスト教における愛を意味し、自己犠牲的・非打算的な愛を指すという。本作ではこの愛を「アイドル」と「アイドルオタク」の関係として表現したのだろう。 主人公は地下アイドルを…
藤子不二雄Ⓐ『藤子不二雄Ⓐブラックユーモア短篇集①』(中央公論新社)より 『ひっとらぁ伯父サン』 // リンク <ひとつミョーな漫画を描いて、人をオモシロがらせてみたい!>。漫画家はあとがき「奇妙なものへの憧れ」で、ブラックユーモア・コミックを描く…
ふみふみこ『女の穴』(徳間書店) // リンク 本作において「穴」とは「目」を意味する。 男性教師は、クラス内のある女子高生の目が「ぽっかり空いた穴みたいでなんかこわい」と思う。そして、女子高生は彼にこう打ち明ける。「わたし異星人なんですよ」と…
ヤマシタトモコ『Love,Hate,Love.』(祥伝社) // リンク 何かを失ったら、何かで補完したいという心理が働く。本作の場合でいえば、恋愛が空虚を埋める役割を果たしているのだろう。 主人公である28歳の女性バレエダンサーは、舞台に立つダンサーの道を諦め…
中村明日美子『曲がり角のボクら』(白泉社) // リンク 高校生たちの恋愛青春漫画といえば、少しありきたりな印象を受けることだろう。だが、やや複雑な恋愛関係と役割を加えることで物語は広がりを見せる。 男女4人の高校生がメインとなる登場人物である。…
ゴトウユキコ『36度』(講談社) // リンク 漫画制作に呪われた者にとっての「救い」とは? 主人公である32歳の女性漫画家は、担当替えで長年付き合いのあった女性編集者と別れることとなる。新しく担当に付いたのは、29歳のイケメン編集者。 主人公はその編…
榎本俊二『斬り介とジョニー四百九十九人斬り」(講談社) // リンク あとがき漫画で、漫画家は本作のアイデアとして編集者に「とてもヒドイ話で侍がひと太刀で何百人も斬り殺すんです」とこぼしていた。まさにその通りの漫画である。 ストーリーは至ってシ…
高橋留美子『高橋留美子傑作集 運命の鳥』(小学館)より 『運命の鳥』 // リンク 他人の未来が見えるとしたら、自分は何を考え、そしてどう行動するだろうか。 主人公である喫茶店のマスターは、小学生の時以来、人に鳥が付いているのを見えるようになる。…
沙村広明『ブラッドハーレーの馬車』(太田出版) // リンク 権力という名の装置が、少女らをどれほど傷付け、そしてその所業を正当化するのかをまざまざと見せつけられた思いだ。 ブラッドハーレーという公爵家の養女に選ばれた少女たちは、馬車に乗って孤…
アンドルー・ラング編『アンドルー・ラング世界童話集第1巻 あおいろの童話集』(西村醇子監修、杉本詠美ほか訳、東京創元社)より 『マスターメイド』 // リンク 人が旅に出る形式の物語はよくある。旅に出ることで未知の世界に触れ、再び以前いた場所へと…
鶴田謙二『ポム・プリゾニエール』(白泉社) // リンク ページをめくるたびに、これでもかと裸女が出てくる。 鶴田謙二は『ひたひた 鶴田謙二イラスト集』(白泉社)でも本作と同じように、裸女を描いていた。恥毛や腋毛を生やした女性の裸は自然的であり、…
アンドルー・ラング編『アンドルー・ラング世界童話集第1巻 あおいろの童話集』(西村醇子監修、菊池由美ほか訳、東京創元社)より 『アラディンと魔法のランプ』 // リンク ディズニーのアニメーション映画「アラジン」の原案だといえば、ピンとくる人も多…
西村ツチカ『さよーならみなさん』(小学館) // リンク 漫画を表紙買いすることがある。ふと目に飛び込んできた絵に、心を奪われて。 本作もそう。キザギザと何度も書き込まれた背景、強調するために極端に歪められた構図にやられた。 どこか絵本のような雰…
よしながふみ『愛すべき娘たち』(白泉社) // リンク 男は女のことがわかっていない。確かにそうかもしれない。ただ、女も女のことをわかっていないのではないだろうか。 そんな漫画家からの問いかけを感じた本作の短編は、そのどれもが女性を軸にした物語…
アンドルー・ラング編『アンドルー・ラング世界童話集第1巻 あおいろの童話集』(西村醇子監修、ないとうふみこほか訳、東京創元社)より 『ヒヤシンス王子とうるわしの姫』 // リンク うぬぼれが強いと自分の真の姿を認識できなくなる。物語はそうした教訓…
藤田和日郎『邪眼は月輪に飛ぶ』(小学館) // リンク 自分が理解できぬ存在に、人間は恐怖を抱く。そして、その恐怖の対象を隔離または排除するなどして人類はその歴史を歩んできた。 本作で恐怖の対象となるのは、一匹のフクロウである。それに見つめられ…
重松清『卒業』(新潮社) // リンク 現代の日本において、「自殺」は深刻な社会問題の一つである。 ただ、その問題の取り上げ方は自殺者数という数字に偏った語りが多く、自殺者、そして周りの人々への思いへの意識が欠けているように感じていた。 本作のテ…
安野モヨコ『監督不行届』(祥伝社) // リンク 女性漫画家が夫との夫婦生活を綴ったエッセイ漫画。ただし、二人の日常はやや特殊である。なぜなら、彼女の夫とは大ヒットを記録している「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの監督こと、庵野秀明だからだ。…
コナリミサト『恋する二日酔い』(イースト・プレス) // リンク 悲しいとき、嬉しいとき、辛いとき、楽しいとき。そんな人生の一場面をお酒とともに過ごす人も多いことだろう。 本作にはビールが物語に絡んだ13の短編がそろう。どの物語にも、冒頭の短編で…