【漫画】田中相『地上はポケットの中の庭』巨大な虫がやってくる非日常の日常
田中相『地上はポケットの中の庭』(講談社)より
『5月の庭』
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主人公の男子高校生・山崎が、アルバイト先のコンビニでコガネムシを助けた。すると、言葉を話す人間ほどのサイズのコガネムシが、恩返しをしようと彼のもとを訪れる。
ただ、向かった先は彼の家。その庭でお茶を一緒に飲みながら、彼とコガネムシはおしゃべりを楽しむ。作品にはそんなゆったりとした時間が流れる。
主人公の山崎も、そして彼の同級生も、巨大なコガネムシが現れたことに驚かない。巨大な生物が現れたという非日常のなかで、普段と全く変わらない日常が作品では淡々と描かれる。
物語には、シュールかつ優しい空気が終始漂っている。そこには異質な他者との交流に対して作者が向ける温かいまなざしがある。